陽も沈みかかった頃、遠くから
スーパーカブ(50ccバイク)にまたがった老人がやってきた。
「真心じゃよ。真心。」
彼こそが ”真心おじさん”
全国の山々を、このちっぽけなバイクにまたがり
旅をする ”真心おじさん”
彼の走り去った宿には、「真心」と書かれた習字が
人目引くことなく貼られている。
(私) おじさんって歳いくつなの?
(おじさん) わしはまだ20代じゃよ。
人間はな、50を越えると一つずつ歳が若くなっていくんじゃよ。
そして 0 になった時、天へ召されるんじゃ。
だから、わしはまだ20代じゃよ。
(私) どうして「真心」の習字を置いてくの?
(おじさん) 真心さえあれば大丈夫じゃよ。
人間は真心じゃよ。
翌朝、眩しくも柔らかい夏の日射しが彼を包みこみ
スーパーカブは か細くも力強いエンジン音と共に走り去っていった。
「真心じゃよ。真心・・・」
おじさん、俺も両手にいっぱいの真心を抱えて走ってくよ。
おじさんに負けないようにね。